麻塘村は州都・凱里市から約21kmの郊外に位置する村。
ここに住む民俗 (亻革)家人(にんべんに革という文字)は、
中央政府が認めている55の
少数民族には正式に認められていない。ミャオ族の一部にカテゴライズされてしまっているが、固有の原語と文化を持っており、ろうけつ
藍染めや刺繍が有名である。ここに限らず、ミャオ族やトン族の集落はつい最近まで自給自足の村が多く、元来、家族や自分のためにしか衣装を誂えることはなかったそうだ。長い時間をかけて一つの服を染め上げ刺繍を重ね、子へ孫へと伝えてきたんだという。
販売用としては、古布やそれを使ったアンティークリメイク小物はいくつかあったが「民族衣装風で作られた販売用の"新品"民芸品」なるものは2017-18の2回の旅ではあまり目にしなかった。
服を作るということはどれだけ、そこに思いや時間をかけられるのか、ということー
東京でアパレル仕事などしていると、すぐに生産効率と製造人件費のことを考えたりしてしまうのだが、こと彼らにとって「服を作るということ」は「ひと針ひと針にどれだけの思いや時間をかけられるか」「伝統や家族の繋がりを形にしていけるのか」「語り継いいけるのか」が問題なのであり、全く価値基準が異なるものである。昔から刺繍の上手な人がモテたそうで、「素敵な服が似合うからモテる」ではなく「素敵な服を作れる(ソシテそれを着ている)からモテる」というわけである。
到着すると村の入り口で伝統の歌をうたって旅人を出迎えてくれる風習があります。割と強めのお米のお酒をクイッとしないと、話は次に進みません。
ちなみに、2018年に大勢で再訪した時は、大勢で出迎えてくれました!
銀のビッグネックレスは魔除けであり動産です。
銀の首飾りは、農作業時に太陽の光を反射して神様に居場所を知らせる意味もあるとのこと。稲穂や鳥などをイメージしたチャームが夥しい量で重なり合ってぶら下がっている。
このビッグネックレスが発展するキッカケは、明の時代の頃、漢民族との交易で銀を得るようになったことからなんだそうだ。首飾りや頭飾りを作り、母から娘へと、動産として銀をずっと受け継いでいくカタチでもある。
書物のような歴史書のようなミニスカ。
そしてこの超キュートなマイクロプリーツのミニスカートは、信じられないくらい細かい
幾何学的な文様のろうけつ
藍染がベース。ところどころにビビッドな朱色と
サックスブルーの布がたたきつけられてる。
なんでも、彼らは文字を持たなかったので、民族が移動してきた歴史を文様にしているんだという。(あえて民族を守るために文字を捨てたという説も聞いたがその辺は研究者に委ねる)とまれ、このスカートは、世代を越えて自らの歴史を伝えるための文様でもあったということで、書物のような古文書のようなミニスカ。
織物の隙間から魔物が入ってくるという伝説もある
足元はこんな感じ。ネオンカラーのロングフリンジつき
チロリアンテープならぬミャオズテープ脚絆(きゃはん)。
バックスタイルは、シンメトリーなジオメトリックカットの黒いマント的布を颯爽と纏っており、その下にはスカートを覆うようにして、細かい
クロスステッチ刺繍を施した布や編みテープが巻いてある。刺繍on刺繍onの複雑なレイヤード。 織物の隙間から魔物が入ってくるという伝説もあるという。刺繍や布を夥しく重ねることでイーヴィルから身体をプロテクトしようという思想もあったようだ。
ナースハットのような、端っこを立ち上げた頭巾も特徴的。なんだか清楚で可愛らしいが、ここにもまたネオン朱色のロングフリンジが突き出していている。
ここにはろうけつ染の大家がいてデモンストレーションもしてくれます。2回目に行った時は、事前に予約したので実際自分でろうけつ体験もできました。(ちなみに帽子は上からみるとこんなことに)
建物の中には古布がたくさん並べてあり、後から思えばあれは販売していたのだったが最初はよくわからずスルーしてしまい、買えばよかった!→翌年は逃さずショッピングしました。(暗くて写真が上手くなくてごめんなさい)
ところで部屋の奥はこんなかんじだ。想像していなかった風景だった。あまりに唐突だったので、誰に何も質問さえできず。
ーで2年目はここで牧歌的にろうけつ染め体験しました。
みんなでろうけつ楽しいような、他に考えなくてはいけないことがあるんやないかと言うような、でも蝋が熱いうちに描かないといけない訳で気が急くし、上の肖像画が気になるし、隣の人の絵も気になるし、心がとにかく慌ただしい。結局また何も聞きたいことも聞けずこの部屋を後にしてしまった。しかしなんでも聞けばいいと言うものではない、所詮いち観光客の私である。ともかく、巨大な中国と言う国家は漢民族が大多数ではあるが実に多様な民族を抱えて進んできたしこれからもそうなんだろうと言うことを理解したつもり、あとは続きの人生で考えてみることにする。
これ、ろうけつのお道具 ↑
さてこの粒度で書いてたら、1年はかかるんじゃないかと言う気がして着た貴州リサーチ。そのくらいの情報量とおもしろ量なのですが、週に少なくとも一つ!を目標に書いてみようと今は思ってますよ。次は村の様子をお伝えしたいです。(予定)
ーメモー
2017年は「貴州センター」であらかじめ目的に応じてツアーを作ってもらって、4名の仲間で旅。
ファッションデザイナーの新居幸治(Eatable Of Many Orders)とその娘という御一行に誘ってもらい、共通の知人で
インテリアデザイナーの安藤僚子と連れ立って、広州→貴陽→そこからチャータの車で周遊しました。2018年も同じくコーディネートしてもらい、15人くらいでバスで回りました。色々相談すると見たいものに合わせたプランを組んでくれます。⬇︎別に広告ではないです。